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「スカボローフェア」の港町へ
2013/04/27(Sat)
Are you going to Scarborough Fair?
(スカボローフェアへ行くのですか?)
Parsley, sage, rosemary and thyme,
(パセリ、セージ、ローズマリーにタイム)
Remember me to one who lives there,
(そこに住んでいる人によろしく伝えてください)
She once was a true love of mine.
(彼女は、かつて真実の愛を捧げるわたしの恋人だったのです)



優しくて切ないメロディーにのせて歌われるサイモン&ガーファンクルの「スカボローフェア」の歌詞はさらに続きます。どうか彼女に伝えてください。お針仕事をせず、縫い目のないシャツを縫ってくれたら、そして、縫いあがったシャツを涸れた井戸の水で洗ってくれたら、その時、彼女は真実の愛で結ばれるわたしの恋人になるのです。歌詞の中の、そんな謎めいた不可能の数々を可能にしないかぎり、かつての恋人たちは結ばれることがないらしいのです。


何とも不可思議でもの哀しい物語が秘められたこの歌の舞台スカボロー(Scarborough、実際の発音では「スカーバラ」の方が近いのですが、日本語では、「スカボロ(ー)」と表記されるようなのでその表記に従います)が北イングランドのノースヨークシャーの町であることは、ずっと以前から知っていたのでした。ですが、実際には、スカボローフェアというお祭りは存在しないのだと何かで読んだことがあったので、てっきり、「スカボローフェア」も、歌詞も、みんなサイモン&ガーファンクルの創作だと思い込んでいたのでした。


ところが、最近ふとしたことでスカボローフェアは今はもう存在しないけれど、以前は存在していたことがわかったのでした。歌の「スカボローフェア」もサイモン&ガーファンクルの作ではなくてスカボローに古くから伝わる民謡-その昔、イギリス国内の町から町を渡り歩いた吟遊詩人が曲に載せて語り継いだ寓意を含んだバラッド-だったらしいのです。そういうことなら、1度、スカボローへ出かけて見ねばなるまいと思ったわけなのでした。


古くから栄えた港町スカボローは、13世紀の中ごろ海外との貿易権を得たことによって、8月の中旬から9月の下旬まで6週間に渡る国際的な貿易市スカボローフェアを開催することになりました。イギリス国内やヨーロッパ各国から多くの商人たちを集めて盛況をきわめたスカボローフェアは、以後、毎年、18世紀まで500年に渡って続いたのでした。


スカボローの海を見おろす高台に建ているセント・メリー教会(St. Mary's church)の墓地には、「ジェーン・エア」の作者シャーロット・ブロンテ、「嵐が丘」の作者エミリー・ブロンテの一番下の妹で、姉たちと同じように作家であり、詩人でもあったアン・ブロンテ(Anne Brontë)が永眠しています。

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こちらが、アン・ブロンテのお墓。

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アン・ブロンテは、1848年に兄のブランウェル、姉エミリーが29歳と28歳で夭逝したあと、自らも病気に倒れ、翌年、療養に訪れたスカボローで29歳の若さで兄弟のあとを追うように亡くなったのでした。


教会のある高台の坂道をさらに上り詰めると、いかめしい姿を現すのはスカロボー城の城門。

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12世紀に築城されたスカボロー城の天守閣は、今は廃墟となっていますが、往時には500百年にわたって開催されたスカボローフェアをこの高みから見守っていたことでしょう。

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お城から、資料館とカフェになっている建物と北海が望めます。

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さらに、お城のある高台をはさんで北側に広がるノースベイ(North Bay)と、

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南側に広がるサウスベイ(South Bay)。

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スカボローは温泉の湧く保養地としても知られ、シーフロントは今でも観光客でにぎわっています。

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でも、きっと、スカボローフェアのにぎわいはこんなものじゃあなかったでしょうね。何しろスカボローフェアーには、イングランド各地から、ヨーロッパ大陸やバルチック海沿岸の国々、ビザンチン帝国からも、貿易商をはじめとする多くの人々が訪れたのだそうですから。それに、大道芸人や、「スカボローフェア」を歌う吟遊詩人たちもね。

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残念ながら往時のスカボローフェアは現在は存在していないのですが、毎年9月には、スカボローフェアをしのぶイベントが開催されるそうです。そのころに訪れると、「スカボローフェア」の歌の世界に出会えるかもしれません。

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