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今年は登れたザ・サドル
2013/11/26(Tue)
スコットランドの
山岳地帯ハイランド地方に
足を踏み込むと、


天をつ山々が
行く手をはばむかのように
立ちはだかっています。


その最高峰は
海抜1300メートルほど。


というと、
それほどの高さでもないのですが、


氷河によって削られた
U字谷の底を走る道から見あげる
千メートル級の峰々は


道の両側に切り立つ
緑の屏風岩さながら。


樹木のとぼしい山肌は
緑の草をまとっているだけ。
頂付近は岩を露出している山々も。

P1120866z.jpg

そんなダイナミックな景観をもつ
山々の姿に魅せられて、


毎年、
夏にはハイランド地方を訪れる
わたしたち一家。

P1120904z.jpg

去年は、
典型的なU字谷を形成する
グレンシール(Glen Shiel)の山に
登りたかったのですが、


残念ながら
千メートルを越す山に登れる
好天には恵まれませんでした。


登ることができたのは、
800メートルほどの山。
(そのもようは、こちらから)


そのてっぺんから、


「来年は、あの山に登ろう!」


とイアンが指さす彼方に
見わたすことができたのは、


ミストの帽子をかぶった
ザ・サドル(The Saddle)。
標高1010m。


山頂付近は、
文字通り馬の鞍か、
腰かけのような形をしています。


実際には、
その山がちょっとした腰かけ程度の
レベルではないことを知らないわたし、


「登ろう、登ろう~」


と、うきうきしながら同意し、
今年のグレンシール再訪時にも、


「まずは、サドルだっ!」


とイアンが息まくのに、


「うん、うん」


と、やっぱり、
うきうきと同意して、


えっちらおっちら、
ウォーキングスティックを山道につきたてながら
登りはじめたのでした。

P1120896z.jpg

グレンシールの谷底から見あげる
山の稜線まで登りつめた地点が
標高にするとちょうど半分。

P1120900z.jpg

まだまだ行けるぞってな感じで
新たにあらわれた次なる山の高みを
めざして登ります。

P1120908z.jpg

ところで、
ザ・サドルは、
ムンロー(Munro)のひとつです。


ムンローとは、
ヒュー・トーマス・ムンロー卿
(Sir Hugh Thomas Munro)が


1891年からリスト作りをはじめた
3,000フィート(914.4m)を越す
スコットランドの山の峰々のこと。


現在、ムンローは、
最高峰ベンネビス(Ben Nevis)をはじめとして
283峰を数えます。

P1120909z.jpg

ちなみに、
わが家が制覇したムンローは
唯一ベンネビス
なのですが、


何しろ、あなた、
ベンネビスはイギリス一の山。
サドルなんて軽いもんでしょう。


なんて思っていたら、おっとどっこい~。

P1120910z.jpg

ここで、あえなく挫折。

P1120980z.jpg

ここが、サドルへの一番の難所、
フォーカンリッジ(Forcan Ridge)のはじまり。


湖水地方のヘルベリン(Helvellyn)山の
ストライディングエッジ(Striding Edge)

のようにはまいりません。


後で知ったことなのですが、
このフォーカンリッジを経てのサドル登山は
スコットランド登山の中では一番困難な部類。


スコットランドの
ウォーキングのサイトの評定によると、
最難関の難易度5。


イギリス最高峰とは言え
登山道の整っているコースを登る
ベンネビス登山の難易度は3なのに~。


ここから先は
頂上までずっと露出した岩場つづき。


しかもいったん登りはじめると、
後退はほぼ無理、
先に進むしかないのです。


何しろ岩場は下りの方が
登りよりずっと大変なのですから。


ということは、
よじ登れないような岩が出てきたらアウト。
レスキューを頼むしかないってことです。

P1120979z.jpg

レスキューを呼ぶまでは行きませんでしたが、


一度、湖水地方の岩場で
足もと一寸踏みはずしたら奈落の底へまっ逆さま
なんて場所を下らねばならない状況に遭遇したとき、
わたし自分の限界を悟りました。

P1120989z.jpg

この岩山の尾根は、
わたしのレベルじゃない。
身のほどをわきまえた直観が
ここまでと警鐘を鳴らしています。


勇気ある撤退などからは程遠い、
まるっきり勇気のない撤退ではありますが、


しかも、フォーカンリッジを行きたい
イアンとユインには申し訳ないけれど、
ごめん。あきらめて。
わたしには無理。絶対、無理。


だからって、
岩場の尾根フォーカンリッジの足もとをうかいして
サドルの頂上をめざすことにしてくれたのは
よかったのだけれど、

P1120912z.jpg

草地に大きな岩がごろごろ突き出す急斜面を
四つん這いになって何とかあと目と鼻の先で頂上
ってところまで登ったところで、


「あ、まちがえた。頂上はもっと先だった」


だなんて~。


イアンちゃ~ん。
四つん這いでのぼった斜面は
後ろ向きの四つん這いで降りるしかないんですよ~。

P1120986z.jpg

「ちょっと先見てくるから、
ここでおまえたちは待ってろ」



って……?


「いいよ。いいよ。イアンちゃ~ん。


ここからの眺めもじゅうぶんに絶景だし、
お昼もだいぶん過ぎていることだから、


ここでおにぎり食べてもうおりようよ~」



ユインは
もろ手をあげて同意しているのに、


何を言っているんだ、おまえ。
ここまで来て頂上をきわめないだなんてことが
あってなるものか。


みたいな
背なかを見せて
姿を消したイアンが、



「行くぞ~っ!」



と、大声をはりあげて
もどってくるので仕方ありません。


急斜面にしがみつきながら
さらに数十メートル進み、


今度こそサドルの頂上へと
また四つん這いになって
よじ登っていくわたしたちなのでありました。


ところが、
サドルの頂上へ登りつめてみると、
そこは切り立った岩場ではなかったのです。

P1120929z.jpg
(山頂からのながめ1)

P1120930z.jpg
(山頂からのながめ2)

P1120949z.jpg
(山頂からのながめ3)


なんだか気が抜けたといいうか、
ほっとする広がりをもつ場所なもんで、

「これがほんとうの頂上なのかなあ~」


なんて、また、イアンが首をかしげる始末。


「でも、ほら、
そこにトレックポイントがあるんだから
まちがいないでしょ~」



トレックポイントは
辺りで一番高い位置の目じるしになる
コンクリートのでっぱり。

P1120934z.jpg

「そうだよなあ。
じゃあ、ここら辺でランチにしよう」



「そうしよう、そうしよう~。
もう3時なんだからね~」



と、
えっちらおっちら背負ってきた
おにぎりお弁当を広げていると、


どこからともなく飛来したカラスが1羽、
わたしたちの足もとへヨタヨタと……。

P1120924z.jpg

イアンがおにぎりの破片を投げてやると、
それはそれは美味しそうについばむので、

P1120941z.jpg

イアンはさらに分け前を
投げてやらずにはいられません。


……なんてことをしていると、

P1120927z.jpg

はるかなフォーカンリッジの岩場に、

P1120948z.jpg

動く小さな人影がひとつ、ふたつ。
その姿はいつかひと組のカップルになって……。

P1120945z.jpg

わたしたちのそばまでやってくると、
頂上のしるしトレックポイントの向こうに立って
記念写真がはじまるもよう。


「撮りましょうか?」


と声をかけるイアン。


「じゃあ、スカイ島を背景に」


と言って笑顔を見せるカップルを
イアンがカメラにおさめると、


カップルの男性いわく、


「実は、これが最後のムンローなんですよ」


えっ、ええ~っ! 
まだ30代の半ばと見えるのに、
これでムンロー283全峰を制覇したんですか~。


「おめでとう~!」


と、カメラを返すイアンにづついて、


「おめでとう~!」


わたしも思わず
お祝いの言葉をかけずには
いられませんでした。


人ごとながら
ムンロー制覇の偉業成就の瞬間に
立ち会うことができるなんて。


ムンロー制覇は、どうやら
カップルの男性の方だけのようなのですが、


フォーカンリッジを踏破してきた
女性にも心の中で拍手喝采を送りながら
2人に別れを告げて、
わたしたちは下山の途に着いたのでした。

P1120976z.jpg

と言っても、案の定、 

P1120981z.jpg

半分も下らないうちに
くだんのムンローカップルに
追いつかれてしまったのでしたが……。

P1130002z.jpg

さすが健脚。

P1120988z.jpg

わたしたちはわたしたちのペースで。

P1120999z.jpg

午前10時前に登りはじめ、
下山したのは午後6時半を回ったころ。

P1130003z.jpg

翌日、わたしたち一家3人、
これまでに経験したことがない
ひどい筋肉痛に見舞われることを
まだそのときにはつゆ知らず、

P1130005z.jpg

暮れなずむ夕刻の空のもと、
ザ・サドル登頂の達成感に酔いしれながら
空き腹をかかえてグレンシールを後にしたのでした。






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