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いつもとはちょっとちがった朝のできごと
2014/01/21(Tue)
トントントンと階段をかけ上り、
正面のドアを押し開けると、
むふふっ。


夏休み中のユインが、
ふとんと格闘しているがごとき姿でベッドの上に身を横たえ、
すやすやと安らかな寝息をたてている。


そこへ、


「ユ~インち~。母さん、来た~」


と言いながら、
ユインのベッドに飛びのると、


「ううん、ああ」


もそもそと場所をあけてくれるユイン。


ユインの体温でむわ~んと
あっためられたベッドが心地いい。


こうして学校が長期休みの平日に
ユインを起こしに来たついでにユ
インのベッドにもぐり込み、


たわいのないことを
ぼそぼそ話す時間が
何にかえがたくいい。


でも、もうあとどのくらい
こんなことしてられるのかなあ。


ユインは、あと4か月あまりで、
12 (トゥエルブ) 歳から13(サーティーン)歳になって
ティーインエイジャーと呼ばれる年齢になるんだなあ
などと考えていると、


「みやこちゃん。ぼく、ちょっと考えてたんだけどさあ」


ふーん。
いったい、何、考えてた?


「ポープ(教皇)は、
どうしてカーディナル(枢機卿)たちに選ばれるんだろうねえ」



えっ……!?


(英語がネイティブのユイン。
英語で考えて日本語で話すので、
知らない日本語の単語は日本語訛りの英語になる。
ちょうど英語をカタカナ書きしたみたいな)


「選挙で選ばれるんじゃあないの。
ポープ(教皇)が選ばれたら、
白い煙とか、赤い煙とかが煙突から出るんじゃあなかったっけ?」



「うん。だから、ポープ(教皇)は、
カーディナル(枢機卿)に選挙で選ばれるんだけどおー」



ああ、そうだったのか。
「どうして」って選ばれる方法を聞いてたんじゃあなくて、「
なぜ」って理由を聞いてたのか。


「ポープ(教皇)って、
ゴッド(神)のレプレゼンティティブ(代理人)だろ。
なのに、どうして下の人がボスを選ぶのかなあ」



うーん。こりゃまた、ユインは、
母さんには予想もつかない問題を考えてたんだねえ。


「ゴッド(神)がいるなら、
ゴッド(神)がポープ(教皇)を選べばいいのにねえ」



「うん。まあ、そう言われればそうよねえ」


と、とりあえず相づちをうちながら、
日本語はまだまだたどたどしいながら
体の方はぐんぐん大きくなっているユイン、


やっぱり、頭の中にも、
わたしの知らないあいだに
わたしの知らないことを
いっぱい詰め込んでいたんだと思った。


そして、そのわたしの知らない知識を総動員して
これから神の存在についての問題に
自分なりの答えを見い出していくのだろう。


あれっ。
そのとき、宗教上の深遠な問題に
頭を悩ませているユインの困惑する表情に、
わたしは、とんでもないものを見つけてしまった。


ユインの鼻の下に、
ぷくんと赤くはれ上がっている部分がある。
赤くはれた皮膚の下に透けて見える白い油脂。


それは、紛れもない、
ユインにできたはじめてのニキビだった。


そのあと、階下におりて朝食をとろうと、
キッチンユニットからお皿を取り出したときのことだった。


そのお皿は、ユインが2歳のときイギリスへ来た
日本のじいちゃんとばあちゃんが買ってくれたものだった。
「くまのプーさん」の絵がらのついたプラスティック製で、
スープ皿とナイフとフォークのセットになっていた。


さすがに幼児用のナイフとフォークは
すでに使わなくなっていたが、
お皿だけは、今も、毎朝、愛用し続けている。


キッチンユニットから取り出した
「くまのプーさん」のお皿を宙にうかせたまま、
ユインが舌足らずな日本語で遠慮気味に聞いた。


「みやこちゃん。このお皿、もう使わなくてもいい?」


「う、うん。いいよ」


わたしの口からは、
とっさにそれだけしか言葉が出てこなかった。


ユインは「くまのプーさん」のお皿をわたしに手渡すと、
キッチンユニットから別の無地の皿を引っぱり出して、
その上に自分の朝食のパンをのせた。


「くまのプーさん」のお皿を
キッチンユニットにしまいながらわたしは思った。


そっか。
じゃ、この「くまのプーさん」のお皿は、
これからは母さんが使うことにするかな。









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