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ぼくは、何人?
2014/01/21(Tue)
イギリスは、
4つの国が寄り集まってできている連合王国。
つまり、寄り合い所帯(じょたい)の国家である。


その4つの国とは、
イングランド、ウェールズ、スコットランドと、
アイルランドの一部である北アイルランド。


だから、イギリス人は、
自分たちをイギリス人と認識するよりは、
イングランド人、ウェールズ人、スコットランド人、
あるいは、アイルランド人のいずれかであると認識している。


イアンの自己紹介の決まり文句も、


「はじめまして。
わたしはイアンです。
スコットランド人です。どうぞよろしく」



血統的に言うと、
イアンの父方の祖母はアイルランド人なので、
イアンは4分の3がスコットランド人で、
4分の1はアイルランド人ということになるのだが、


イアン本人のアイデンティティーは
スコットランド人である。
イギリス人であるとは名のらない。


幼いころのユインは、


「トーサンは、スコティッシュ(スコットランド人)。
母さんは、ジャパニーズ(日本人)。
そして、ぼくは、イングリッシュ(イングランド人)」



と言っていた。


父がスコットランド人で、
母が日本人なのに、
そのあいだにできた子供が
イングランド人のはずがないではないか。


「どうして、イングリッシュなの?」


と聞くと、


「だって、トーサンはスコットランド訛りの英語を話すし、
母さんはジャパニーズ(日本語)を話す。
そして、ぼくはイングリッシュ(英語)を話すでしょ。
だから、ぼくはイングリッシュ(イングランド人)なんだよ」



「いやいや、そういう問題じゃあないんだよ。ユインくん。
母さんだっていくらヘタとは言え日本語ばかりじゃあない、
英語も話すではないの。



それに、イングリッシュを話したとしても、
ユインは日本人の母さんと
スコットランド人の父さんのあいだに生まれてきたんだよ。
そして、ユインだって日本語を話すじゃあないの」



と、再三再四説明し、
言い聞かせても納得しなかった。


どうやら、幼い日のユインには主言語として
「イングリッシュ (英語)を話す人々」=「イングリッシュ(イングランド人)」
という図式ができあがっていたらしい。


そのユインが小学校を終え、
コンプリヘンシブスクール(中学+高校)に入学したころのこと。


もうそろそろユインも、
「イングリッシュ」という単一の英単語が、
言語と何人であるかの2通りの意味を持つことを
理解するようになっているのではないかと思った。


そこで、幼いころ、
何度繰り返しても埒(らち)の明かなかった質問を
むし返してみたのだった。


「ねえ、ユイン。
今は、自分は何人って思ってるの?」



「イングリッシュ」


えっ。
今でも、そんなに自信ありげに言うのか。


「でもさ、ユイン。
ユインのトーサンはスコティッシュで、母さんはジャパニーズなら、
ユインの体の中にはイングリッシュの血は一滴も流れてないんだよ」



「うん。わかってるけどさあ」


「友だちも、ユインはジャパニーズだって言うんでしょ?」


「うん。だから、まあ、今は、ジャパニーズだとも思うんだけどお」


「そうだろ、そうだろ。
だって、ユインの8分の1はアイリッシュで、
8分の3がスコッティッシュで、
半分がジャパニーズなんだからね。


遺伝的にはジャパニーズの部分が
一番多いってわけだからね」



「でも、やっぱり、
ぼく、イングリッシュだよ」



そこへ、


「まあ、イングランドで生まれて育ってるんだからな。
そういう認識になるってわけさ」



イアンはいやに物わかりのいい父親の口調で言う。


今のところ、未成年のユインは、
イギリス国籍と日本国籍の2つの国籍を持っている。


イギリス政府は成人の二重国籍も認めているので、
とがめだてをすることはないのだが、
日本政府は成人の二重国籍者を認めていない。


だから、二重国籍を持った子供たちは成人に達すると、
その後の保留期間の2年以内に、
日本国籍を保持したい場合はもうひとつの国籍を
放棄しなければならない。


このままでいくと
ユインがイギリス国籍を放棄することはない
ような気がする。


ということは、
ユインは、将来日本人ではなくなる。


それがユイン自身の選択なら
わたしがとやかく言うことは何もない。
アイデンティティーは
あくまで本人の中で確立されるものなのだから。


むしろ問題は、
アイデンティティーがしっかり本人の中で確立されなかった場合に
生じてくるのかもしれない。


将来、
ユインが日本人に自己紹介するときには、
きっとこんなふうに言うことになるのだろう。


「はじめまして。ぼくはユインです。
イギリス人です。どうぞよろしく」



(日本語では、
イングランド人とも、イングリッシュとも言わないから
何人の部分は、やっぱり、イギリス人)


そう日本語で自己紹介できるだけじゃあなくて、
日本語でもっともっとたくさんのことが話せて理解できる
イギリス人に育っておくれ。


それがおとなになっていくユインに託す
日本人の母さんの願いなのだからね。









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