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イギリスで手術をうけてみた 8
2007/09/19(Wed)
ベッドに乗せられたまま、
ゴロゴロと連れてこられたのは、
窓のないがらんどうの倉庫のような部屋、
ここって、もしかして、手術への控(ひか)え室……?


テレビドラマの中の外科医の先生たちが着ている
パジャマのような、作務衣(さむえ)のような、
まったく同じ深緑色のユニフォーム姿の人々が
次から次へと話しかけてくれるのですが、


いったい、だれが麻酔医の先生なのか、看護師さんなのか、
よくわからないまま聞かれたことに答えたり、
全身麻酔にたいする不安などを
手あたり次第に訴えてみるわたしなのでありました。


もしも、全身麻酔にアレルギー体質だったらどうしよう。
アレルギーがなくても、全身麻酔からさめたとたんに、
げぇげぇーいう人もあるってことだし、
わたしも、そういう人だったら、ど、ど、どうしよお~。


とはいえ、手術が終わって全身麻酔からさめたとたんに、
激痛におそわれるのではというもうひとつの不安は、
以前よりずっとやわらいでいたのでした。


というのは、執刀医の先生に会ったときに、
切開した創(きず)を閉じるまえに、
局所麻酔を注射しておいてもらえると
聞いていたからなのでした。


その局所麻酔がどのくらい効くものかはわかりません。
けれども、全身麻酔からさめたとたんに、
もろ100%の痛みがおそってくることはないのだと
わかっただけでも、ずいぶん気分がちがいます。


ふと見ると、たしか、わたしが入ってきたとき、
むかいの遠い壁ぎわに、もう1台ベッドがあって、
30代くらいに見える男性がいたのでしたが、
その男性のベッドは、いつしかどこかへ消えていました。


というわたしも、そのがらんどうの部屋で待たされたのは、
ほんの10分かそこらで、心の準備とか、覚悟とか、
まだそんなところまで意識がおよばないうちに、
まったく、とうとつに、


わたしのベッドも、がらんどうの大部屋から、
医療機器が待ちうけるこじんまりとした個室の中へと、
ゴロゴロと運びこまれていったのでありました。


気がつくと、わたしのベッドをはさんで両側にひとりずつ、
緑のユニフォームを身につけた女性がたっていて、
そのうちのひとりが、わたしの顔をのぞきこみ、
にっこりと、開口一番……。


「ここで、全身麻酔をしますからね~」


ぎょえっ!と、一瞬身がまえたものの、
おそらく麻酔医の先生と思われるその大がらの白人女性、
にっこり笑顔のまま、


「わたしの夫は、日本企業で働いてるのよ。
○○○なんだけど」



その会社名は知っていたので、


「ああ、そうなんですか。その会社なら知ってます」


「シマサキさんという人といっしょに働いてるのよ」


って、でも、そのシマサキさんという人はちょっと~。
わたし、日本人なんですけど、ここの日本企業の方全員と
お知り合いってわけではないもんで~。


「はあ、そうなんですか~」


と答えると、今度は、わたしのベッドの左側に立っている
同じ緑のユニフォームを着た
看護師さんと思われるインド系の女性が、


「オゥ~! あなたの腕って、なんてか細いの~!」


げげっ。そ、そ、そうですか?
わたし、生まれてこの方、そんなこと言われたことないんですけど。
これが、日本人の平均的体格かと……。


「うわぁ~。ほんとに細いわ~」


と、同意する右側の白人女性は、
わたしの腕に血圧計のバンドをまいたり、
心電図をとる小さな円盤型のパットを胸もとにはりつけたり、


そして、それからも、
もう、こちらは何年になるの?とか、お子さんは?とか、
両側からよってたかって、いろいろなことを聞かれるのに
答えているあいだに、


んっ。
もしかして、今、左の手の甲に、
針、刺されました……?


ってな感じで、
こちらがいったい何をされているのかわけわからないほど
てきぱきとした手際でもって、あれよあれよというまに、
どうやらすべての準備がととのっちゃってたみたいで……。


「じゅあ、麻酔入れますよ。
気がついたら、みんな終わってますからね~」



という声を聞いたとたん、


うっ。な、何だ、これっ……。
手の甲につながれたチューブから入ってきたのでしょうが、
体の中に何か流れこんできた感じがあって、
ドロンと全身が重くなり、


ぐへっ。気持ち悪~い。
そのわたしの表情を読みとってくれたみたいで、


「気持ち悪いのね。でも、だいじょうぶ。
それ、ノーマル、ノーマル……」



と、かけてくれた声を聞いたあと、
遠い視界のはしから、
酸素マスクみたいなのが近づいてくるのが
見えたような気がしたのが、最後、


ああ、今、気が遠くなっていくという瞬間もわからないまま、
わたしはもう、わたしの体のどこにも、
いなくなってしまっていたのでした……。





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