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イギリスで手術をうけてみた 9
2007/09/20(Thu)
「みやこ~」


どこかで、だれかが、
わたしの名まえを呼んだような気がして、
ふと、目をあけたのでした。


あ、あれっ……!? 
おっかしいなあ~。
わたし、湖水地方の丘にいたんだけどなあ。


わたしの脳裏には、
こんもりとみごとな曲線をえがいて盛りあがる
緑の丘の壮大な風景の残像が、
まだありありと広がっているというのに、


うすめにあけた目にうつっているのは、
白い壁……。


そして、
わたしが横たわっているのは、
ベッドの上……。


んっ。そう言えば、
わたし、手術をうけるんだっけ。


キョロキョロ。
もしかして、この状況って……?
というわたしの疑問に答えるかのように、


「手術、終わりましたよ~」


と、声がしたのでした。
それから、あちこちから、


「アー、ユー、OK?」


と、聞いてくれるので、
反射的に、


「OK、OK……」


と、かすかな声を出してみながら、
う~ん。OKなんだけど、でも、左脚が痛いので、
そちらに手を伸ばしながら、


「ちょっと痛いんですけど……」


と、言うと、鎮痛剤3錠と、
折れまがったストローがさしてある
水の入った紙コップがもらえました。


そして、このときばかりは、
こと薬にかんしては不器用なわたしののどを、
大粒の鎮痛剤がすんなりととおっていったのでした。


「アー、ユー、OK?」


う~ん。
また、そう聞かれると、かなり寒いような……。
と思っているうちに、
歯がガチガチと音を立てはじめたので、


「寒いです……」


と言うと、薄いシーツでおおわれていた上に、
うすくてあたたかい夏ぶとんのような
ウォームシートとよばれるシートをかけてくれました。


まだ、脚の痛みはつづいていましたが、
その痛みも、がまんできないような激痛ではなく、
ウォームシートのおかげで、
ほこほこと体があたたまってくると、ひとここち……。


うつろな頭で、あたりのようすを把握しはじめた
わたしなのでありました。
どうやら、ここは、手術の終わった患者を
全身麻酔からさます部屋なのでした。


手術前と同じ緑のユニフォームを着た看護師さんたちが、
広い部屋の中を、ぱたぱたと歩きまわっています。
歩きまわっていない看護師さんは、
わたしのとなりのベッドのわきに立って、


そのベッドに横たわっている人の名まえを
何度も何度も呼んでいるのでした。


「ポール、ポール、ポール……」


名まえを呼ばれているのは、
わたしが全身麻酔をかける部屋に入る前に、
ちらりと見かけた男性のようです。


どうやら、その男性は、
なかなか全身麻酔から目がさめないようで、
うつろなうなり声をあげつづけています。


どうも、名まえを呼ばれるのに答えているようには聞こえません。
それにくらべて、わたしは、全身麻酔の前に心配していた
アレルギーもなく、げぇげぇーいうこともなく、


それどころか、
目ざめる前に見ていた湖水地方の丘の風景の夢の余韻が
まだ頭の片すみにとどまっているのか、
よい夢を見た寝ざめの朝のようにすがすがしい気分なのでした。


(わたしの見た夢にはストーリーがなく、
全身麻酔からさめる一瞬に見たものかと思うのですが、
あとで、サーチしてみたところによると、
全身麻酔中にも、夢を見ることはあるのだそうですよ)


まったく、わたし、ラッキーな夢を見たものです。
それにしても、これで2度めに姿を目にするベッドのおとなりさん、
うまく目がさめますようにと心の中で願いながら、


全身麻酔からすっかり覚醒したわたしは、
再び、ゴロゴロとベッドに乗せられたまま、
この大部屋をあとにしたのでありました。


いやあ。それにしても、
もう手術が、終わっちゃっただなんて、
何だか、キツネにつままれたみたいな、
どうも、そっちの方が夢見ているみたいな気分だな~。





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