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近代魔術師の宮殿クラッグサイド 2
2007/11/02(Fri)
北イングランドのド田舎に広大な土地を購入し、
ビクトリア時代の先進技術の粋を集めて、
みずから考案した水力、電力式のハイテク機器をそなえた
「近代魔術師の宮殿クラッグサイド(Cragside)」を構築した
ウイリアム・アームストロング卿
(1810-1900)、


生家は残っていないのですが、
わたしたち一家が暮らすニューキャッスルの出身で、
しかもわが家のご近所が出生の地なのです。


最初の職業は弁護士だったのでしたが、先進技術に興味があり、
そちらの趣味がこうじて、ついに、エンジニア、発明家、実業家に転身、
その成功によって、巨万の富を築きあげたのでした。


いつぞやご紹介したわが家のご近所の公園「ジェズモンド・ディーン」
(「ジェズモンド」は地名、「ディーン」は「谷間」という意味) に、
アームストロング卿の本宅があったのですが、


のちに、別荘として建てたクラッグサイドを本宅とし、
ジェズモンド・ディーンはニューキャッスル市に寄贈され、
市民のいこう公園となったのでした。


実は、それだけではなくて、
ジェズモンド・ディーンをはさんで、南にヒートン・パーク、
北にアームストロング・パークという公園がつらなっているのですが、
それらも、アームストロング卿の所有だったらしいのです。


そのほかにも、アームストロング卿は田舎に広大な土地を所有し、
北イングランドの海岸線から北海をのぞむ古城
バンバラキャッスル
(Bamburgh Castle)を購入して、
廃墟と化していたお城を改装し、
住居可能な状態に整えていったのでした。


アームストロング卿夫妻は子供に恵まれず、
直系の子孫はなかったのですが、貴族の称号と資産は、
アームストロング卿の曾甥(姉の孫)に受け継がれ、


今も、その直系のご家族が、
バンバラキャッスル(Bamburgh Castle)にお住まいです。
ちなみに、そのお城の1部は、一般公開されていて、
イアンとわたしも訪れたことがあります。


さてさて、お腹ごしらえをすましたわたしたち、
いよいよクラッグサイドのお屋敷に向かったのでありました。



見学者用の入り口は、この画像の左手のドアなのですが、
まずは、ユインが向かっている中庭へ。



アーチ型の入り口をくぐると、



中庭をかこむようにお屋敷が建っているのでした。



なぜ、こんなに複雑に込みいった構造をしているのかというと、



このお屋敷、更地の上に新しく建てられたのではなくて、
アームストロング卿が買いとった
12部屋の田舎屋を起源としているのでした。


オリジナルの12部屋でも、
かなり大きなお屋敷だったはずなのですが、
1869年から1884年にかけて15年にわたって
改築に改築を重ねられていくうちに、


この屋敷、完成時には、なんと100部屋をこえる
壮大なカントリーハウスへと変貌(へんぼう)を
とげていったというわけなのでありました。



こちら、中庭の反対側の入り口になります。


こちらの入り口を出て、反対側から見たお屋敷……。



駐車場から向かうと、こちらの入り口から中庭を通りぬけて
正面玄関に回ることになります。


そして、このあとは、いよいよお屋敷の内部へご案な~いっ!
って手はずなのでありますが、ナショナルトラストって、
どこも、ここも、カメラ、ビデオの撮影は禁止。
やむなく、デジカメは、わたしのジャケットのポケットの中へ……。


でも、それにめげているみやこさんではありませんよ。
隠し撮りするほどのド肝はすわってはおりませんが、
クラッグサイドのお屋敷内部の画像をのせているサイトを
ぬかりなく探し出してまいりました。


というわけで、
こちらが、アームストロング卿の書斎。


そして、こちらは、客間。
正面の暖炉とその壁一面は、大理石です。
アーチ型になっている天井のわきの部分は、
大理石ではなくて、プラスター(石こう、しっくい)なんですけどね。


さすが世界で最初に電灯がともったハイテクハウス、
天井からさがっているシャンデリアも、
そのほかの照明器具も電気なのであります。


でもって、この客間のテーブルの上には、
今の天皇陛下が皇太子の時代、エリザベス女王の戴冠式(1953年)に
出席されるためにイギリスを訪れられたおり、
このクラッグサイドに1週間滞在されたときの写真がかざられています。


さらに、1991年には、今の皇太子さまも、
クラッグサイドを訪れられたとのこと。
そのときは、すでに、ナショナルトラストが管理していたので、
内部の見学ということだったのかと思いますが……。


天皇陛下が滞在中に宿泊された寝室(「ふくろうの寝室(Owl Rooms)」)も
公開されていて、そのほか、ギャラリー、リビングルーム、ビリヤードルーム、
図書室、トルコ式浴室、キッチンに食糧貯蔵室、その他の寝室や居室、
それから、「日本の間(Japanese Room)」というお部屋もありました。


というのは、何しろ、日本は、アームストロング卿の
軍事ビジネスの大のお得意さまであったわけで、
その軍艦や兵器を、文字通り武器にして、
日本は、大陸進出をはたしていったのでありますからね。


アームストロング卿と日本の政治、軍事有力者とのあいだには、
おのずと親交があたためられ、数多くの日本の要人が
クラッグサイドを訪れることになったというわけなのでした。
今は昔の話でありますが、かつての500円札に肖像が印刷されていた
岩倉具視(いわくらともみ)もその中のひとり……。


また、昭和天皇の伯父にあたる徳川頼貞(よりさだ)公爵夫妻は、
2代めのアームストロング卿と、とくに親交が深かったらしく、
3度にわたりクラッグサイドに滞在され、
「日本の間(Japanese Room)」は、
公爵ご夫妻のもたらされた浮世絵が壁面をかざっていることから
名づけられたのだそうです。


「日本の間」だけではなくて、クラッグサイドのあちこちに、
おそらく日本からの訪問客によって贈られた日本の品々や、
滞在時に撮られた写真などが展示されています。


ところで、
電灯、エレベーター、電話、水洗トイレ、調理具などなど、
このクラッグサイドがビクトリア時代の最新の技術を
そなえたお屋敷だというのは、すでにご紹介していますが、


先のサイトの画像の客間(Drawing Room)の手前に、
グランドピアノがおかれていて、
ピアノから数メートルはなれたところに、
ふたつきの、やっぱり、楽器のようなものがあったのでした。


その前に立ち、


「これ、何だ?」


と、英語で言ったイアンにつづいて、


「何だ、これ~?」


と、今度は、ユインが日本語で言うもんで、


「足ぶみ式のオルガンだよ。
ほら、下の方に足をのせるペダルがあるじゃん。
このふた開いたら、鍵盤(けんばん)がならんでるんだよ」



と、わたしが教えてあげると、


「ふ~ん」


イアンもユインも、なるほど~と、
えらく感心しているようす。


ところが、その得意顔のわたしのようすを、
ちらりっと視界のはしにとめたナショナルトラストの職員のおばさん。
あとは、わたしとは視線を合わせることなく、


わたしが足ぶみ式オルガンだと言いきった
楽器のわきにやってきて、
そのふたを、ぱかりっ、と開けたのでありました。


えーっ!
そしたら、なんと、その中には、
鍵盤がならんでなかった……。


あちこちに穴のあいている幅広の紙が
大きなロールになって
その中におさまっていたのでありました。


そして、そのナショナルトラストの職員のおばさんが、
わたしにではなくて、イアンに向かって、
その楽器の名まえを告げたのでしたが、
すいません。その名まえは、失念してしまいました。


が、とにかく、この楽器は足ぶみ式のオルガンではなく、
オルゴールのような仕組みで、
ロール紙に開けられている穴を機械が読みとって、
それを曲にして奏でる楽器であることは、
わたしにも、瞬時に理解できたのでありました。


という、わたしのかいた赤恥を、
わざわざここでさらしたかったのではなく、
このいささか失礼なナショナルトラストのおばさんによると、


この名まえも知らない楽器、
数メートル先にあるピアノにつながれていて、
なんとそのピアノが曲を奏でるのだそうなのです。


おおっ。やっぱり、このお屋敷、ハイテクハウスだ~っ!
と、実感してしまったので、
ちょっとご紹介してみたかったのでした。


現代に生きるわたしでもびっくりするくらいですからね。
このお屋敷が現役時代に、
逗留(とうりゅう)した国内外からのゲストの方々、
お屋敷内のあちこちでハイテクを駆使した調度品にそう遇するごとに、
目を丸くしたにちがいありません。


きっと、そのようすを当主のアームストロング卿は、
してやったりとほくそえんでながめていたのでありましょう。
実際、このクラッグサイド、ビジネス客をもてなすと同時に、
自社製品の技術の高さを誇示するためにも使われていたようです。


お屋敷を一巡し、外へ出ると、

PA230055a.jpg

かど口の蔦の赤さが目にしみたので、
ジャケットのポケットにしまいこんでいたカメラをとり出して、
さっそく、1枚……。


お屋敷へ入る前は、
もやがかかって白くにごっていた空が
いつのまにか晴れあがっていたのでした。

PA230064a.jpg

わきへまわりこんで、1枚、

PA230059a.jpg

さらに、もう1枚……。

PA230067a.jpg

そして、これが最後の1枚……。

PA230070a.jpg

わたしたち、まだ、ヨーロッパで最大という石庭ロックガーデン、
午前中に見そびれたフォーマル・ガーデンやクロック・タワーも見ていないし、
オータム・カラー・ウォークの散策もしていないのですが、
このへんで引きあげなければならない時間になってしまったのでした。


いやあ、クラッグサイドのお屋敷とお庭、
それに、敷地内の散歩道を1日で網羅(もうら)しようと思うのは、
無謀だということがわかりました。


ってわけで、
また、出直すことにしました。
じゃ、また、近いうちに~っ。





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