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宇宙のはじまりとわが家の終わり?
2008/09/11(Thu)
2008年9月10日、
わが家はいつもとかわらない朝を迎えたのでした。
朝食をとっていると、テレビのニュースでは、


あと30分ほどで、
スイスの地下深くで「ビッグバン」当時の状態を再現し、
宇宙誕生の謎を解こうという壮大な実験が
行われるのだと告げていました。


そのテレビ画面の中で、
光り輝いているコンピューターグラフィックスの素粒子が
高速に近い速さで飛びかっているはるかな時の延長上に、


今、この世界が存在するのだと言われても、
ああ、そうなんですか。
と、意識のうわっつらでうつろに思うばかりで、


宇宙の起源だなんてとてもそんな遠いことに
思いをはせることなどできそうにない朝だというのに、


そんな朝にかぎって、
この夏のイギリスの空をおおいつづけてきた厚い雲の
わずかな切れ間からおだやかな薄日がさし込んで、
わが家のある通りをやわらかな明るさでつつみこんでいたのでした。


いつものように玄関先でもひとしきりじゃれ合ったあと、
いっしょに通学する友だちの待つ通りのはずれへむかって
ユインが歩きはじめると、


イアンもいそいそと出勤の車に乗りこむので、


「今日も、叫ぶの?」


と聞くと、


「当ったり前じゃあないか」


と、言うなり車を発進させるイアン。


通りの中ほどまで歩いていたユインは、
車のエンジン音を聞きつけると、
イアンの「アイ ラブ ユー。ユイ~ン!」の一斉砲撃をかわそうと、
路上にとまっている車のわきに身をひそめるのです。


そして、ユインが立ちどまると、イアンの車もとまる。
ユインが小走りをはじめると、再びイアンの車も走り出す。
こうして通りのはずれまでくると、ユインは右へ、
イアンの車は左折してユインの姿とイアンの車が見えなくなる。


これまでに何度もくり返されてきた朝の風景、
たぶん、これからもくり返されていくことになるのだろう。
だけど、明日の朝からは、この朝の同じ風景を
涙でにじむ目で見送ることになるのかもしれない。


などと、ぼんやりとした思いをめぐらせながら、
いつになく明るくてほのあたたかい皮肉な朝日に目を細め、
玄関先に立ちつくしていたわたしなのでした。


そして、いやにのろのろと進んでいく時計の針が、
もうあと数分で午前10時をさそうというころ、
電話のベルがなったのでした。


水曜日は仕事で裁判所に出向くことになっているイアンは、
今日も、10時からお昼まで裁判所なので、
電話はお昼にかけると言っていたのでしたが、


きっと気が変わって、今朝のうちにクリニックに電話をかけて、
今日、わかることなっている血液検査の結果を聞き、
その結果を知らせるために電話をかけてきたにちがいない。


とっさにそう思ったわたしは、あわてて受話器に手をのばし、
毎日、お昼にかかってくるイアンからの電話に出るときのように、
日本語で、


「もしもし……」


と、声をかけたのでしたが、
受話器のむこうから聞こえてきたのは、
いつものイアンの「もしもし」ではなく、
まったく聞き覚えのない女性の英語の声だったのでした。


その女性は、
わたしの苗字を聞いてユインの母親であることを確認すると、
ユインの学校のレセプショニストだと名のって、
ユインの具合が悪いのだと告げたのでした。


ほんの2時間前に、
あんなに元気に登校していったユインの具合がよくない?
キツネにつつままれたような一瞬がすぎると、
すでに不安でいっぱいのわたしの胸に、
また別の新たな不安が黒い影を広げていくのでした。










(この1か月あまりにわたって、
わが家の中に渦巻いていた不安の日々。
書いておこうかな。書かずにおこうかな。
ずいぶん考えたあげく、最後はハッピー・エンドにおさまったので、
やっぱり書いておくことにしました。


というわけで、今日はまず、
昨日の、その最後の朝のことから……)





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