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楽しいことが悲しくて
2008/09/19(Fri)
湖水地方へやってきた日のお天気はよかったのに、
いよいよ湖水地方の丘や山々へ歩きに行こうという
2日めの朝になると、


空は霧込んだように白くけむって、
糸のような小雨があたりの風景をしめらせる
いつもの北イングランドのどんよりとしたお天気に
逆もどりしてしまったのでした。


それでも、ときには、
薄もやが晴れるようにしてできた雲間に
青空がのぞいたかと思うと、
まばゆい日の光がふりそそぐこともあり、


しっとりとぬれたグラスミアの村の通りや
花で飾られた石造りの家々、
そのむこうの緑深い丘のつらなる風景が
お日さまの光を反射して、
突然、キラキラと輝きはじめることもあるのでした。


そんなとき、思わず、


「わぁ、きれい」


と声に出してみると、
その風景のあまりにも美しいことが切なくて、
一家でむじゃきにたわむれているひとときが切なくて、


しあわせであると感じることが
こんなにも悲しいと感じたことはなかったのでした。


丘歩きに出かけても丘の上で必ず雨にたたられてしまうので、
車で観光名所めぐりをすることにすると、
今度は、車が故障してしまったのでした。


そのせいで、その翌日は、
湖水地方では比較的大きな町ケンダルまで
故障車をなだめなだめ走らせねばならなかったのでしたが、
修理をしてくれる店には部品の在庫がなく、


わたしたち一家は、また別の日に、
もう1度ケンダルまで出向かねばならないことになったのでした。


「ったく、踏んだりけったりだっ!」


車の修理に2日もつぶしてしまうことになったあげく、
しかも、その日がもう残りわずかになっていた1週間のホリデーの中で、
唯一申し分のないお天気だったものだから、


「寄りにもよってこんな日に~っ!」


ふだんはよっぽどでないと不平をならすことのないイアンが、
いきり立っているのがおかしくて、


「それ、いつものわたしみたいだね」


と言うと、


「だって、悔しくないのか?」


「でも、仕方ないじゃん」


というわたしは、
ふだんなら今のイアンに輪をかけた勢いで地団太踏んで
悔しがっているにちがいないのでしたが、
ケンダルへの道を走っていても、ぽかぽかとお天気はいいし、


車の修理がすむのを待っているあいだ、
ケンダルの街をぶらついて時間をつぶすのも
そう悪くはないと感じていたのでした。


なぜって、このホリデーがあんまり楽しいことばかりだったら、
よけいに悲しくなってしまうような気もするし……。


この世の中、幸運なこともあれば、不運なこともある。
それが、まったく均一にばらまかれているとは思わないけれど、
不運つづきのあとには、きっと幸運もめぐってくるはずなのだから。


それに、実を言うと、そのときのわたしは、車が故障したことによって、
車が身代わりになってイアンがかかることになっていたかもしれない病気を
ひき受けてくれたような、そんな気がしていたのでした。


だから、気分はちょっとだけ、ハッピー。
まあ、そんなことは、口にはしませんでしたけど……。





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