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ハイランドの片田舎にブロディー城を訪ねる
2008/12/10(Wed)
とくにその名を知られているわけでもなく、
いつか訪れてみたいと思っていたわけでもなく、


カローデンの古戦場へ行くなら
そのもう少し先にお城があるみたいだから、
ついでに行ってみることにしよう~。


ってな感じでやってきた
ブロディー城(Brodie Castle)だったのでした。

IMG_0803n.jpg

カローデンの古戦場でもそうとう田舎にあって
道に迷い迷いたどりついたのでしたが、


ブロディー城の方も、
よくもまあこんなところにと思うようなド田舎に、
あたりの辺鄙(へんんぴ)な景観を威圧するかのように、
堂々と建っていたのでした。


こちらは、正面左手の横手から。
かなり奥の深い造りになっていました。

IMG_0795m.jpg

というのも、築城は16世紀ながら、
17世紀と19世紀に増築がほどこされ、
現在のようなたたずまいになっていったのだとか。


後ろの奥行きもですが、
お城の正面もかなりの広さ。

IMG_0796m.jpg

まあ、土地だけはふんだんにあるからなのかも知れませんが、
それでもこんなに敷地が広かったら、
お手入れが大変だろうなあと思わずにはおられません。


というわたしの心のつぶやきが聞こえたかのように、
低いエンジン音をとどろかせながらやってきたのは、芝刈り機。

P1020579n.jpg

うわぁ~。
やっぱり、わが家のとはケタ違いにサイズがちがうなあ~。
と思ってながめているあいだに、


イアンとユインは、お城の中へ……。

P1020582m.jpg

追いかけて入り口をくぐってみると、
所在なげにたむろしている人々が7、8人ばかり。
しばらくするとガイドツアーの時間なのだとか。


ふだんはガイドツアーに参加しないわが家も、
そのままお城の奥へ足をふみ入れると
ヒンンシュクをかいそうな雰囲気だったもので、


入り口のあたりでうろうろしていると、
わきの物置のようになった場所に、
どうしたわけだか、日本のサムライの甲冑が……。


ひょえ~っ。
イギリスの田舎のスコットランドの
そのまた片田舎のハイランドの
そのまたド田舎のお城の中に、こんなものが~っ!


と驚きつつも、いささかこのお城に親しみをおぼえ、
退屈であろうガイドツアーにもつきあってみるかな
という気になってきたのでありました。


するとほどなく、
タータンチェックのキルトを肩から斜めにかけた
声に張りのあるかっぷくのよいガイドの女性が現れて、
城内のガイドツアーがはじまったのでした。


するとまあ、これがなかなか……。
スコットランド王ロバート1世(ロバート・ザ・ブルース)から、
坊主が文句を言っているから池を埋め立てよとしたためられた
何百年前の手紙があったり、


(ロバート・ザ・ブルースは、
スコットランドの独立を守りぬいたスコットランドの英雄。
スコットランドの王家スチュアート朝の始祖ともなった王様)


時代はくだって国会制度の整った時代には、
ブローディー家の当主ジェームズ・ブローディーは、
国会議員をつとめていて、


当時の首相から国会が解散したから、
ロンドンへ出向かれたしとの旨をしたためられた
数百年前の手紙があったり、


どうやら、このブローディー一族は、
古くからスコットランドの名家に数えあげられる
由緒ただしき家柄だったようなのです。


ま、お城が住まいなわけなので、
さもありなんではあるのですが、


展示してあるだけなら見すごしてしまいそうな手紙にも、
オーディエンスが聞き耳をたてそうなエピソードをまじえながら
城内を案内してくれるガイドさんのお話が
なかなかなものなのでありました。


広々としたダイニングルームのまん中には、
食器やカトラリーが整然とならんだダイニングテーブルがしつらえてあって、
今にも、正装したこの家の人々や招待客たちが席について、
フォーマルなディナーがはじまりそうな雰囲気がただよっています。


壁ぎわにも、食器の収納とディスプレイをかねた食器棚がならび、
その上にも、大皿や花瓶などがところ狭しと陳列されているのです。


白地に青色の中国風の図がらの描かれた食器のセットは、
大皿、小皿、カップなどもとりまぜて、全部で400枚。


オーダーメイドで、それぞれの食器には、
ブローディー家の家訓である家族の絆を強くという意味をこめた
「UNITED(結束、結ばれた)」という文字が書き込まれているのです。


「ですが、このダイニングルームにある400枚の食器の中の、
2枚には、ちょっとしたまちがいがあるのです」



へえ~。それを、1枚1枚チェックして見つけたってわけなのですね。


「そのまちがいというのは、『UNITED』の文字の中の
「I」と「T」がひっくり返って、『UNTIED』になっているのです」



ふむふむ。そうなんですか。
う~む。やっぱり、この中国風のもよう入りの食器、中国製なのかな。
ともかく、英語のネイティブじゃあない陶工たちによって
作られたものみたいですね。


「『UNITED』と『UNTIED』、
2つのアルファベットがひっくり返っているだけで、
意味がまったく正反対になっているっておもしろいですよねえ~」



あ~っ!ほんとうだ~っ!?
「UNITED(ユナイティッド)」は、「結束した、結ばれた」で、
「UNTIED(アンタイド)」は、「解放された、ほどけた」


「その2枚の食器というのは、これと、あれです!」


その「これ」と「あれ」の「UNTIED」と、
他のお皿の「UNITED」としっかりと見くらべてみたところ、
たしかに、ひっくり返っていましたよ~。おもしろ~いっ!


そして、また別の居室でのお話……。
正面の壁にかかっているのは、当家のご主人の奥方、
気品ある容貌のまだうら若きエリザベス夫人の肖像画。


「実は、この絵の一部は、
あとで描き直されたものなのです」



喪服のような黒いドレスをまとった手がさしあげられ、
天井の方を指さしてます。
肖像画におさまるには、いささか奇妙なポーズ。


「ふふふっ。これには、ちょっとした意味があるのです」


と、ガイドさん。
けれども、それ以上は何も言わないで、
何食わぬ顔で他の部屋を案内してまわったあと、


肖像画のかかっていた居室の真上にある
部屋にやってくると、


「ここが、エリザベス夫人のベッドルームです」


中央に天蓋つきのベッドと壁ぎわには暖炉。
木彫りのワードローブ。


「焼け跡がごらんになれますね。
ある夜、この部屋から出火して、ベッドで休んでいた
エリザベス夫人は火事で焼け死んだのです」



そう言われれば、部屋の片すみには黒く焼け焦げた痕跡が……。


「だから、肖像画の彼女は指さして教えていたのです。
自分が命を落とした場所を。
『その場所は、この上なのよ』とね」



ほ~っ。なるほど~。
というような話に聞き耳をたてながらお城を一巡すると、
またたくまに1時間半の時間がたっていたのでした。


正直のところ、あちこちお城やお屋敷をまわると、
どれがどのお城やお屋敷だったかって
ごっちゃになってわからなくなっちゃうのですが、


このブロディー城だけはごっちゃになってしまわずに、
ずっとわたしの記憶に残りつづけていくんだろうな
と感じたわたし……。


最後に、ほんのひと言だけれど、
興味深いエピソードをまじえて城内を案内してくれた
英語の発音のとてもはっきりとしたガイドさんにお礼をのべて、
ブロディー城をあとにしたのでありました。


朝から雨にたたられ、霧に視界をはばまれた上、
寒くてひもじい思いもしなければならなかったものの、
結局、


「今日も、思い出に残る旅の1日なったよね~」


などと話しながら、3時間あまりの道のりを
宿のキャラバンへ車を飛ばしたわたしたち一家。
キャラバンへ帰りつくと、時間は、
すでに夜の8時をまわっていたのでしたが、


晩ご飯は、ひもじい思いも準備をすることなく、
食べることができたのでした。
いやあ、お昼のお弁当を忘れて出かけたのも、
そう悪くはなかったってわけなのですね。





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