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失われた谷ロストバリーを見つけに
2009/08/06(Thu)
7月19日(日)

朝からどんよりと暗い
灰色の厚い雲間をさいて、
一瞬、薄日がさしたのに希望をかけて、
歩きにいくことに決めた。


ハイランド地方一の景勝地グレンコー、
その中でも美しいことで知られている
3連峰スリーシスターズの谷あいの奥にある
失われた谷ロストバリーへ。


P1090455A.jpg


スリーシスターズの駐車場から
岩がゴロゴロでミッジ(ブヨ)の飛びかう小道に入る。
せせらぎにわずかに頭を出している石の上をわたり、
1時間半ほど。


P1090391A.jpg


のぼりがきつくてくらくらしてしまった。
目の前の風景がモノクロームの
だんだんまだらにかすみそうになる。


もうダメみたいと思ったら、


「着いたぞー」


と、イアンが叫ぶ。


のぼりきると、
細長いすり鉢状の谷が見おろせた。


P1090420a.jpg


グレンコーの殺戮で命を落とした
マクドナルド一族が盗んだ家畜を
隠しておいた場所だったという。


あたりはひっそりと静まって、
わたしたち3人以外に動くものの影はない。
失われた谷ロストバリーの風景の中にはめこまれ、
今、わたしたちも失われた世界の一部になっている。


谷の向こうは、再びのぼりになる。
さらに奥へ進めるところまで
進むつもりだったけれど、


白くけむっていた空から、
ついに雨のカーテンがおりてきた。
皮膚の中までしみこんでくるような
細かな雨……。


突き出した岩の下でしゃがみこんでいたら、
雨足がよわまってきた。


岩の下からはい出して、
足の下にを見おろす位置まで行く。


と、ふいに、
霧ごんだ空に明るみがさしたかと思うと、
ロストバリーに太陽の光の帯がさしこんできた。


その一瞬、
しっとりと濡れそぼっていた風景が、
まばゆいばかりに輝きはじめた。


光の粒子をふくみこんで
一面の緑がキラキラとさんざめく。


くらくらしながらも、
来てよかったと思った……。


上空でほどけていた霧のような雲は、
再びうずを巻いて、
ぽっかりと開いていた青空にぬける穴を
またたくまにふさいでしまった。


再び、雨となる。


先へ進むのを断念して、
引き返すことにする。


白く景色を曇らせる雨の中を
のぼってくる人影がある。
すでにぐっしょりと濡れている。
それは、わたしたちも同じだけれど……。


お日さまは顔を見せることはなかったけれど、
断続的にふったりやんだりする雨のあいまに、
再び、ふいに日の光がふってくることもあった。


P1090440a.jpg

ふもとにたどり着くまでに、
家族連れやカップル、犬連れのグループなど、
幾人もの人々とすれちがった。


車までもどった直後、一気に雨あしが強まり、
そのあと時々雨のあがることもあったけれど、
もう日がさしてくることはなかった。


ウォーキングブーツを脱ぎ捨てて、
スリーシスターズを肴(さかな)におにぎりをほおばる。
冷たい緑茶の喉ごしがこたえられない。


何台も車はとまっていたけれど、
ほとんど人影はなかった駐車場に、
どやどやと人があふれてくるなと思ったら、
背後に巨大な観光バスが乗りつけていた。


P1090459a.jpg


スリーシスターズの峰々を前に、
記念撮影をする人々の喧騒(けんそう)が満ちた。


P1090461a.jpg


イアンが、観光バスに乗っていた
日本人に声をかけたので、
わたしもひと言、ふた言だけ声をかけることになった。


「この場所きれいですね」


スリーシスターズを前に、
東京から来たという女性がそう言ったので、


そうか。この場所がグレンコーということも、
この峰々がスリーシスターズだということも、
知られていはいないんだと気がついた。


人にはそれぞれ、
行ってみたいなと思う場所は、
数々あるのだと思う。


でも、1度訪れてみると、
もう1度訪れたいと思う場所は、
そうそうあるものじゃあない。


P1090456a.jpg


キルトをつけたガイドさんに呼ばれて、
その女性は観光バスにもどったので、
それ以上言葉をかわす時間もなかったけれど、


もし、時間があったら、
わたしにとっては、
このグレンコーがそんな場所なのですよ。
なんてことを話していたかもしれない……。


巨大な観光バスは、
ものの5分もとまっていたかと思うと、
ついさっき吐き出したばかりの観光客たちを積みこんで、
あっさりと走り去ってしまった。


フォートウィリアムのお土産物屋の
片すみにあるレストランで昼食、
そのあとは、ネス湖へ向かうのだろう。


午後は、そぼふる雨の中をドライブ。
グレンコーから南へくだり、
海岸べりを北上してキャラバンへ帰る。


ああ、それにしてもかゆい。
グレンコーの谷あいで顔面から首にかけて、
20か所くらいミッジ(ブヨ)にかまれてしまった。


いったんかきはじめると、
さらにかゆくなって、さらにひっかく。


すると、ものすごくかゆくなるので、
ものすごくひっかく。


すると、もうがまんできないほどかゆくなって、
血のにじむまでひっかきむしる。


こうして、
夜も寝られぬ地獄の悪循環に
おちいってしまうことがわかっているので、
固く心に誓うわたしなのである。



かかない。絶対に、かかないぞ~っ!





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