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予言
2007/06/22(Fri)
いつまでたっても、
ふいに、古い記憶の底からうかびあがってくる
一場面がある。


それは、わたしが10歳か、11歳のころの
体育の授業か何かで、クラスの女の子たちと
着がえをしているときのことだった。


自分の着ていたししゅう入りのベストをたたみながら、
そのベストを評して、


「まあ、なんてかわいいの」


長いポニーテールの髪をゆらして、
ゆきよちゃんは目をかがやかせた。


ゆきよちゃんは、同級生の中でも小がらな方で、
着ていた服は、ベストだけでなく、フリルつきの白いブラウスも、
ベストとおそろいのししゅう入りの短めのスカートも、
何もかもがお人形さんのもののようにかわいらしかった。


げじげじまゆ毛のゆきよちゃんだったけれど、
容姿にも、それなりの自信があるみたいだった。


そして、ゆきよちゃんは、
そのころの年代の女の子の多くが話題にするように、
しあわせなお嫁さんになるあこがれを
まわりの女の子たちと話しはじめたのだった。


「でも、アンガイ、結婚が早いのは……」


と言ったゆきよちゃんの声が、
少しはなれた場所にいて、
話にくわわっていなかったわたしの耳にも聞こえてきて、


ふと、顔をあげると、
ゆきよちゃんと目があった。
ゆきよちゃんのまわりにいたほかの女の子たちも、
いっせいにわたしの方を見ていた。


だれも何も言わなかったけれど、
ふいに視線をそらせたわたしの耳に、
ふふふっという女の子たちの
低い笑いが聞こえてきた。




でも、残念でした~。
ゆきよちゃんの予言は大はずれ~。
わたしの結婚は、ずいぶん遅かった。


だけど、世界でたった1人きりだったけどね。
アンガイ、「きみは、世界で1番美しいよ」
なんて言ってくれる人があらわれちゃったんだ。


その人と、アンガイ、結婚なんかしちゃってさあ。
アンガイ、と~ってもハッピーな
お嫁さんになれてしまったんだよね~。


でも、ゆきよちゃんにじゃあない。
ゆきよちゃんのまわりにいた女の子たちにでもない。
わたしが、そのことを言ってあげたいのは、
もっと別の人……。


ひとりの殻に閉じこもって、
外の世界に自分をさらすことが怖くてしかたなかった
わたし自身にそう教えてあげることができたらと思う。


もし、それができたら、わたしは、もっと素直で、
人のことを信じられるおとなに育っていたかもしれない。


でも、そんなまともなおとなに育っていたとしたら、
ゆきよちゃんの予言したように、
わたしは、アンガイ、早くに結婚をして、
イギリスへやってくることなんて生涯なかったかもしれない。


もしかすると、ゆきよちゃんの予言をとくために、
わたしは、イギリスの地へやってきたのかもしれない。


予言をといてくれる人が、
そこでわたしを待っていてくれるとは知らないまま、
子どものままのわたしを連れて……。





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