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朝寝ぼうの理由
2007/06/26(Tue)
深夜の言いわけ」のあと、
なぜか、以前、イアンから聞いたことのある
ある老夫婦の話が思いおこされたのだった。


それは、もう2、3年も前になるかもしれない。
新聞にのってたんだけどねと言って、
イアンが、


「こんなふうに手をつないでさ」


と、ベッドにならんで横たわっていたわたしの手をにぎり、


「87歳のカップルが」


たしか、イアンは、87歳と言ったように思うのだけれど、
100%、87歳だったかというと自信がない。


でも、絶対に、78歳ではなかったし、
80代の前半でもなかった……。
つまり、そのカップルは、そんなに若くはなかった。


「朝、自宅のベッドルームで
眠るように亡くなっているのが発見されたんだって」



「えっ。それって、病気とか、自殺とかじゃあなくって?」


「うん。そうじゃなくて」


「ふたりそろって、自然死ってこと?」


「らしいよ」


イアンちゃんは、絶対に、
わたしより先に死んじゃダメだからね。
なんてことを、ついわたしが口にすると、


どうして、そう、死ぬことばかり考えるんだい。
それより前に、これから何年もいっしょに生きていくことの方を
考えたらどうなんだと、
あきれはた顔をするくせに、


そのときのイアンは、わたしを握る手に、
そっと、あたたかい力をこめて、


「死ぬんなら、ぼくらも、こういうふうに死ぬのがいいね」


と、つけくわえたのだった。


「うん……」


それに、もし、その老夫婦みたいに、
わたしたちも、いっしょに眠るように死ねるなら、
無類の怖がりのわたしも、
怖いと思わないでそのときを迎えることができるかもしれない……。


そう思って、イアンの方をふり向くと、
すでに安らかな寝息をたてているイアンの横顔があった。


そして、これは、もしかすると、
とてつもなくむずかしい「もくろみ」なのかもしれない
と思った。


まくらが頭にくっつくと同時に寝息をたてはじめるイアンと、
いっしょに眠るように死ぬことなんて
はたして、このわたしにできるものなのだろうか。


と、考えはじめると、
太平の眠りをむさぼっているイアンのかたわらで、
深夜にひとりますます覚醒していくわたし……。


やっぱり、イアンとは、いっしょに死ぬことよりも、
いっしょに生きることの方を考えるべきなのかもしれない。
でないと、死ぬまでおちおち安眠できそうにもないし、


それから、この調子だと、
明日の朝寝ぼうのちょっと気のきいた言いわけも
考えておいたほうがいいかな。


朝までには、まだ、たっぷりと時間があるのだから……。





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