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銀色の裏打ち
2007/06/27(Wed)
気分までどんよりとなえてしまいそうな
じけじけとした空もようが
もう2か月もつづいています……。


ふだんの年なら「エイプリル・シャワー」と呼ばれるにわか雨が多く、
お天気の安定しないはずの4月が、
イギリスの気象観測史上300年の中で、
1番あたたかかった4月として記録を残したと思ったら、


本の裏表紙をぱたりと閉じたみたいに、
4月の終わりで、あたたかな陽光はすっかり姿をけし、
灰色の雲があつくおもたく5月の空をおおったのでした。


イギリスにお天気を期待してはいけない。
大西洋からやってくるしめった雲が
ヨーロッパ大陸に流れこむ防波堤の役割をはたし、
雲は、大量の雨となってこの大地にふりそそぐのだから。


でも、その雨のおかげで、アイルランドやイギリスの島々は、
年間をとおして、目のさめるようなみずみずしい緑で、
おおいつくされているのだから。


だとしても……。


5月が去り、
太陽の祝福がしあわせな花嫁「ジューンブライド」を
誕生させるはずの6月がやってきても、
お天気はいっこうに回復する気配を見せず、


とくに、この北東イングランドには、
北海からあつい雲がたれこめていたので、
6月下旬にイギリス各地に洪水の被害をもたらしている大雨がくるまでに
少しは晴れまのあった恩恵(おんけい)にもあずかることもなく、


まだ月末にはもう少し日数があるというのに、
すでにイギリス気象観測史上1番雨の多い6月だったという記録が発表された
のしかかってくるようにあつい雲のしたで、
ほそぼそとストーブをたいて、
肌寒さをしのぐ毎日を送っている今日このごろ……。


このあたりの日中最高気温は、
4月のころからほとんど変わらず、13℃、14℃などという日が多く、
とくに、月曜日の朝は、風まじりの冷たい雨の中で、
そうとう冷えこんでいたもので、


声変わりした低い声で、
ぼそっと、


「いってきま~す」


とだけ言いのこして、
登校していくユインの寒そうに丸めた半そでのポロシャツの背なかが、
みるみるぬれそぼっていくのを見送っていると、


先週末に、週に1度洗濯することになっている
長袖で厚手のジャージのスクールユニフォーム(制服)がないことに気づいて、
週末のあいだに新しいのを買っておいてやればよかったと
後悔の念がこみあげてきたのでありました。


すぐに新しいのを買ってやるから、すぐにまた失くしてしまうのさ。
今度は、ちゃんと学校で探させてから買うことにするんだぞ。
と言ったイアンが、このあいだは、
ユインが体育のラグビーシャツを失くしたその日の夕方、
わざわざ街に出かけていって新しいのを買ってやったというのにな……。


そして、そればかりではなく、
その同じ朝、わたしあてに1通の手紙がとどいたのでした。
もう半分忘れてしまっていて、
あとの半分は、もう永遠に来なければいいと願っていた手紙が……。


予約の日時は、7月11日の午後2時15分となっていました。


今週も週明けから、さいあく~。
とくにわけがあるわけでもないのに、それもこれも、
何だかこの陰惨(いんさん)なお天気のせいのような気がしながら、
乾くあてのない洗濯物をそれでもと思ってガレージにほしていたら、


今度は、ぽつぽつぽつと水のしたたる音が……。
ガレージの地面に目をやると、水のつたう道ができていて、
週末のあいだにイアンがしてくれたガレージの屋根の修理、
な~んだ。ちゃんとできてなかったのね~。


ますます気分がぐしょぐしょにぬれそぼっていくのを感じながら、
その日は、終日、家の中に閉じこもってすごしたのでありました。


そして、午後3時……。


玄関をあけるくぐもった音がすると、


「ただいま~」


と、声変わりのした低い声がして、
朝と同じ半そでのポロシャツ姿で帰宅したユイン。


「寒かったんじゃあない?」


と聞くと、


「まあね」


そして、ごそごそと、
何やらスクールバッグの中からとり出したと思ったら、
おやまあ、


「あったの。スクールユニフォーム?」


「そりゃあないよ」


でしょうね。
でも、だったら、何なのこれ……。


「先生が、かわりに持ってっていいって」


そうか。学校で借りてたのか。
ユインのよりずっと大きいもんね。


「これ、ちょっと、洗ってくれない?」


「うん。洗ったげるよ。で、いつ返すの?
明日までに乾かないといけない?」



「えっ。これ、もらったんだよ。
先生が、もう何か月もあるから、もらっていいって……」



「もう何か月もあるから」じゃあなくて、
「もう何か月もだれも取りに来ないから」だろと思いつつ、


「あっ、そう……」


まあ、何か月も引きとり手がないってことは、
これから先も、引きとり手はあらわれない確率が高いってことだとは思うけど、
なんか釈然(しゃくぜん)としないまま、
洗濯機をまわしたわたしなのでありました。


そして、夕方、イアンが仕事から帰ってきたので、
さっそく、ことの次第を説明してみると、


そりゃあ、よかったじゃあないか。
しかも、失くしたのよりサイズが大きくてもってこいだな。
こりゃ、ラッキーだったと手ばなしで喜ぶので、
わたしも、まあ、これでいいのかなあと思えてきました。


そして、ふと、こんなことわざを思い出したのでした。



"Every cloud has a silver lining."
(どんな雲にも、銀色の裏打ちがされている)



どんな雲にも、そのへりには銀色のふちどりがあって、
そのうしろにかくれている
かがやく太陽の存在を知らせているものだ。


それから、
その日の朝、わたしにとどいた手紙をイアンに見せました。


GP(一般医)の先生は、手術だって言ったけど、
専門医の先生に診てもらったら、


「『でもまあ、このくらいなら手術はしなくていいでしょう』
なんてことになるかもしれないよね。イアンちゃん」






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