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湖水地方の羊たちハードウィックシープ
2011/04/26(Tue)
イギリスの田舎歩きをしていて一番よく出くわす生き物と言えば、羊です。今回は、そんなイギリスの田舎ではおなじみの羊の中でも、湖水地方のシンボルとも言われる羊たちハードウィックシープ(Herdwick sheep)をご紹介します。ですが、その前に、わが家がよく出かけるノーサンバーランド州ではどんな羊を見かけるのかと言うと......。

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このように、親も子も全身白か、ときにはほんのちょっと黒のまだらの交じった羊毛におおわれている羊たちが多いです。ただ、中には、白い親が黒い羊毛におおわれた子羊を連れていることもあります。

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かと思えば、親だけ顔と脚が黒かったり、その逆で、子供たちだけ顔と脚が黒かったり、

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親も子も両方、顔と脚が黒い親子もいます。

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ちなみに、イギリスの田舎で見かける羊たちの多くはメスです。羊の雌雄を区別する場合には、メスの羊は「ユー(ewe)」、オスの羊は「ラム(ram)」と呼ばれます。日本語にすると、子羊も「ラム」ですが、子羊の「ラム」の英語のつづりは「lamb」。羊の種類によって、メスでも角を持つ種類もあれば、オスでも角を持たない種類もあるので、角のあるなしで雌雄の決定はできませんが、おそらく一見すれば、その羊がオスであるかメスであるのかの判断はつくはずです。

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ねっ。


さて、北イングランドの北端、東側ノーサンバーランド州から西へ州境を越えてカンブリア州に入ると、イングランドの屋根湖水地方が広がっています。その湖水地方の中央部から西部にかけて放牧されている羊が、今回ご紹介する湖水地方原産の羊ハードウィックシープ(Herdwick sheep)です。湖水地方特有の山がちの背景にたたずむこのハードウィックシープを見かけると、「ああ、湖水地方へやってきたんだ」と感じます。

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こちらは、イングランド第3位の高さを誇るヘルベリン山(Helvellyn)の頂上で見かけたハードウィックシープの親子連れ。夏にもかかわらず、寒風が吹きすさんで凍えるような寒さです。イギリスで最もタフな羊と言われるハードウィックシープが密集した剛毛を蓄えている理由は容易に想像がつきます。山や丘の放牧地で冬を越すハードウィックシープも珍しくはないのだそうです。


漆黒の羊毛を身にまとって生まれ、成長するにつれて羊毛の色はこげ茶から徐々に灰色へと、まるで人間の毛髪の色のように色を変えていくのが特徴。さすが年がら年中雨もようの湖水地方の産、ほかの羊に比べて濡れた毛が乾くのも速いのだとか。だから雨に強いセーターができるかと思いきや、あまりの剛毛の上に着色が難しいので、ハードウィックシープの羊毛はセーターよりはカーペット向き。また、自然素材の断熱材としても利用されているのだそうです。


ところで、「湖水地方の農家タウンエンド」の回のときに、ピーターラビットの作者ビアトリクス・ポターは、タウンエンドのある村トロウトベックに住んで農業を営んでいたと書きましたが、このハードウィックシープの飼育に力を注いでいました。後半生、視力が落ちて絵を描けなくなり農婦になったという話は有名ですが、農婦としてのビアトリクス・ポターは、優良なハードウィックシープを育てて賞をとったり、ハードウィックシープの会の会長を務めたりもしたのでした。


ビアトリクス・ポターがハードウィックシープを好んだのは、湖水地方の原産種だったこともあるのでしょうが、さらに、もうひとつ、ハードウィックシープがもつ表情によるのでは? 湖水地方でハードウィックシープに出会うたびに、わたしにはそう思えてなりません。

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この何とも穏やかで愛くるしい表情がピーターラビットの作者を魅了しなかったはずはないと。


独特の表情のほか、後ろ姿にも、ハードウィックシープたちに共通している特徴があります。それは、しっぽが地面に届きそうなくらいだらりと長いこと。

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と言っても、実は、羊のしっぽはみんなだらりと長いのです。ですが、だらりと長いと不衛生になりやすく、病気にかかりやすいので、ほどんどの羊たちのしっぽは生まれるとしばられ、成長するにしたがってしばられた部分までで切れてしまうのです。つまり、一般的に羊のしっぽだと思われている手のひらくらいの長さのしっぽは、しっぽの付け根の部分。ハードウィックシープたちのしっぽこそが羊の本来の尻尾の長さというわけなのです。(ただし、湖水地方以外では長い尻尾のまま飼育されている羊をまったく見かけないというわけではありません)


ハードウィックシープは山や丘の斜面にぽつりぽつりとせいぜい数頭程度の群で見かけることが多いのですが、去年の夏、クリンクルクラッグズ(Crinkle Crags)という山に登ったとき、そのふもとの農場の囲いの中に、いっぱいいましたっ!

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そして、下山後、同じ農場のわきを通りかかったところ......。

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羊たちが山のふもとの農場に集められていたのは、その日が年に1回の毛刈りの日だったからなのですね。この囲いの中にいる毛を刈られている羊はみんなお母さん羊たち。その年の春に生まれた子羊たちの毛は、はじめての夏には刈られないのです。成長した羊にとっては、たとえ夏でも肌寒い日があったり、山の上は冷え込んでいたりしても、夏には一旦毛を刈ってやる方がいいのだそうです。

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1番左が毛を刈られたお母さん。右にいるのが毛を刈られていない子羊たち。


ハードウィックシープの黒っぽい羊毛は、1キロあたり7ペンス、明るい色の羊毛は1キロあたり8ペンス(100ペンスが1ポンドで、現在のレートで、1ポンドは130円ほどです)。ということは、1頭分の羊毛は、わずか10ペンス、日本円にして13円ほど。しかも、1頭の羊の毛を刈るのに80ペンスの経費がかかるので、1頭毛を刈るごとに、農家は70ペンスの損をすることになるのだそうです。


そこで、この湖水地方のシンボルとなっているハードウィックシープを飼う農家をサポートするために、ナショナルトラストが援助をしているとのこと。湖水地方のシンボルである一方で、山や丘の草を食料としているハードウィックシープは、湖水地方の昔ながらの景観を保つためにも、必要とされる存在というわけなのですね。


ところで、わたしが出会ったとっておきのハードウィックシープを、こちらのページでご紹介しています。もしよかったらご覧になってください。






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