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悪魔を見た日 1
2007/07/27(Fri)
あなたは、悪魔の存在を信じますか?
わたしは、ドラゴンやスフィンクス、ペガサスなどと同じように、
天使も悪魔も、人間のたくましい想像力がつくりだした
架空の存在だと思っています。


ですが、わたしは、あの日、
この目で、ほんとうの悪魔を見たと思ったのです……。


それは、15年前、わたしが北イングランドの片田舎の
さびれた町のはずれにある2階のフラット(アパート)に
住んでいたある夏の日のこと。


わたしの夫イアンは、仕事に出かけており、
わたしは、フラットでひとり、
夕食のしたくにいそしんでいたのでした。


フラットの間どりは、1番奥にキッチンがあり、
その手前にバスルーム、そして、広いリビング。


リビングの表のドアを開けると、1階の玄関から上がってくる階段と、
ベッドルームに通じるローカがあって、家の中のドアは、
空気が通るようにどのドアも半開きくらいに開いた状態にしてありました。


けれども、玄関のドアと、キッチンの奥にある勝手口、
窓という窓は、きっちりと閉まっていて、
家の外から、何かが侵入してくることはありえないはずなのでした。


ところが、夕食のしたくが一段落し、
キッチンからリビングにもどってきて、
ふと、玄関に通じるドアの方へ目をやったとき、


ドアの向こうから、何か黒いものが飛来してくるのが、
ふいに、目に飛び込んできたのでした。




ぎゃ~~~っ!?




せっぱ詰まった叫びは、
まぎれもなくわたし自身のものなのに、
まるで別のだれかがあげているかのようでした。


一方で、
今しも、顔面に襲来しようとするその黒いものをさけようと、
とっさに手が動いて、半開きになっているリビングのドアをおすのと同時に、
動転した頭では、その黒いものの正体について思いをめぐらせたのでした。


体の大きさと色から考えると、ツバメのような気がしました。
けれども、その飛び方が、ツバメのように直線的ではなくて、
ヒラヒラと舞う、どちらかというと蝶のような感じなのです。


けれども、もし蝶だとすると、アゲハくらいの大きさはあります。
とすれば、黒アゲハなのかも……。
ところが、北国イギリスで、そんな巨大な蝶を見かけたことはありません。


だとすると、
たったひとりきりで、片田舎の広いフラットにいるという状況が、
あらぬものを見た錯覚と妄想をつくりあげたのかもと思ったのでしたが、


とっさに動いた手が、リビングのドアをおし、
きっちりとすきまなく閉じた瞬間に、たしかに聞いたのでした。
その閉じられたドアのむこうで、



コツンっ!



と、何かがドアにつきあたる軽い音がしたのを……。


こればかりは、どう考えても錯覚であるはずはありません。
そして、不気味な残像のように耳に残っている、コツンっ!という音は、
翼をもったあの黒いものが、今、目の前のドアのむこうに、
現実に存在しているのだということを証明しているのでした。


けれども、ドアのむこうにいるものは、ツバメではありません。
飛んでいるツバメが何かにぶつかったのだとすれば、
あんなに軽いコツンっ!であるはずはないからです。


かといって、黒アゲハであるはずもありません。
いくら巨大なアゲハだとしても、蝶々が、ドアにぶつかって、
コツンっ!だなどという音をたてられるはずないではありませんか。



じゃ、じゃあ~。
このドアのむこうにいるのは、いったい、何なの~っ?




気がつくと、わたしは部屋ばきのスリッパのまま、
キッチンの勝手口(があって、ほんとうによかった!)から、
裏庭へ飛び出していたのでした。


そして、そのまま、バス停へかけつけると、
仕事帰りのイアンを乗せた路線バスが姿をあらわすのを
一心に待ったのでした。


30分ばかりも待ったでしょうか。
待望のバスが姿をあらわし、イアンがバスから降りてくると、
フラットへの道を歩きながら、


「イ、イアンちゃ~ん。
フラットにね。なんかいるのよ~」



血相をかえているわたしに、
のん気な顔をむけたイアン、


「いったい、何がいるんだい」


「それがわからないんだよ~。
わからないけど、絶対に、なんか変なのがいるんだよ~」



「ふ~ん。そうか。
じゃあ、まあ、その変な同居人にあいさつしてくるかな」



フラットに到着すると、鍵をとりだして、
正面玄関のドアを開けたイアン、わたしを路上に残しておいて、
ひとりで階段をのぼっていくのでした。


そのイアンの背なかを見おくるわたしの脳裏に、
ヒラリっと黒い羽をひるがえしておどる影と、
そのあとの、軽いコツンっ!という音がよみがえってきます。


はたして、わたしは、白昼に悪夢を見たのでしょうか。
それとも、ほんとうの悪魔を見てしまったのでありましょうか。




(つづく)





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